妙典橋〜今年度末から建設に着手
安全対策に懸念の声も
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妙典橋完成予想図(工事説明資料から) |
県は今年度末から、江戸川放水路をまたぎ市川市の高谷と妙典をつなぐ妙典橋(仮称)の建設に着手する。行徳橋と新行徳橋、市川大橋(国道357号)の渋滞緩和と災害時の新たな緊急道路と位置づけており、高谷側住民にとっては妙典のショッピングセンターが利用しやすくなるため望む声があるが、両地域の交通量増加につながるため安全を危ぶむ声は大きい。外環道路に合わせた平成二十七年度の開通を目指している。
妙典橋は、高谷地先と妙典地先を結び、行徳側の新浜通りから延伸する形で建設される全長六二二・五㍍の橋りょう。国道14号の船橋市西船から原木IC(インターチェンジ)を経て市川浦安線の行徳橋に至る県道船橋行徳線の一部として整備する。同橋りょう部は車道二車線と片側歩道(幅三・五㍍、北側)とする計画。東京メトロ(東京地下鉄)車両基地をまたぐ形で設置する。妙典側では河川敷など橋の途中では降りられない構造。江戸川放水路は、環境省レッドリスト準絶滅危惧種であるトビハゼの国内および世界の北限生息域でトビハゼ護岸があるため、橋脚は同護岸の干潟を避けて配置する。市川市が外環道路建設計画の受け入れに際して要望した九分類二十二項目のうちの一つ(七分類・交通)。
県葛南地域整備センターが「高谷と妙典をつなぐことで一体的な発展が望める」と位置づけているように、高谷側住民は妙典地区を徒歩や自転車なども含めて利用しやすくなる。外環道路の開通と合わせて整備することで「車両が住宅地に流入することを防げる」(同センター)との面もある。ただし、同センターは同橋とその周辺の詳細な将来の交通量予測をしておらず、一日の通行量を七千七百台と推計。行徳橋(現状約六千七百台/日)については「ある程度減るだろう」、新行徳橋(同約一万六千台/日)については「若干減るだろう」とみる。
妙典橋の両岸には市立高谷中と県立市川南高、県立市川特別支援学校、市立信篤小、市立妙典中があり、両地域では交通量の増加による安全への不安感がある。
妙典橋は、原木IC付近で船橋行徳線と接続する計画だが、未整備部分は事業主体が決まっていないため、今回整備されるのは妙典橋を含む一・三㌔㍍のみ。原木ICとの接続は事業計画の認可も通っていない。地域住民は「原木ICとつながって初めて効果が出る。このままでは車両が地域に溢れてしまう」と懸念する。
妙典橋の開通による交通量増加の影響について同センターは「騒音は環境基本法に定められている目標値を超えない。交通安全対策は今後検討する。現状でも狭いが歩道はある」とするが、高谷側の住民は「歩道が狭くて危ない。『あるから』では不満だ」と安全対策の考えに憤る。
船橋行徳線に接続する計画の道路(都市計画道路3・4・13号二俣高谷線)は歩道整備や交差点の見通し確保などの要望があるが、沿道に住宅が面しており用地確保は難航。同センターは「まず妙典橋の整備を進める。3・4・13号はその次」という。
工事に際し、資材運搬車両が周辺を通行する。橋脚の工事は来年度から。
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