史跡内の工事「待った!」

 住民の指摘受け中断~外環道路

工事断面イメージ図
  国の史跡・下総国分寺跡への追加指定が決まった市川市国分の瓦窯(かわらがま)跡の隣接地でこのほど、この瓦窯跡の地下部分にまで範囲が及ぶ外環道路工事が、外環反対連絡会などからの指摘を受け中断していたことが分かった。文化財保護法では、史跡の指定地で工事を行う場合、文化庁に申請書を提出して審議会で審査を受ける必要があり、今回のように正式な史跡指定前でも、こうした手続きを経ずに工事することは問題がある。今回の工事は、同会などからの指摘があったため指定地内には及ばなかったが、同会は「実態は法令違反」と憤るとともに、文化財保護体制を確立する必要性を訴えている。
 
  問題となったのは、窯跡の隣に土留めの鋼矢板を連ねて打ち込み、窯跡の反対側を掘削して外環道路を建設する工事。その際、鋼矢板が掘削した方向に倒れるのを防ぐワイヤー(グラウンドアンカー)を、窯跡の地下に打ち込む必要がある。
 
  この窯跡は、市川市が国の史跡・下総国分寺跡への追加指定に向け昨年夏ごろから準備を進めていた遺跡で、先月21日の文化審議会からの答申により追加指定が内定している。だが、工事事業者である東日本高速道路は先月28日、県教委文化財課との協議結果に基づき工事に着手。現場には、同課の職員も立ち会っていた。
 
  結局、工事は外環反対連絡会などからの指摘を受け、指定地の外に鋼矢板を打ち込む作業を終えた段階で中断。今後は、文化庁と県教委、市川市教委、東日本高速道路の4者で協議しながら、正式な史跡指定後、所定の手続きを経て工事するなど、慎重に進めていくとしている。
 
  こうした事態を受け、同会と市川緑の市民フォーラム、真間山の緑地を守る会の3団体は3日、市教委に意見書を提出。透明性があり、高度な行政判断ができる権限を持つ検討委員会の設置に向け、市教委が関係機関に積極的に働きかけることを求めた。

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