市川よみうり10-99
市川よみうり1999年10月
 「いちかわ子ども人権ネットワーク」を組織  子供の虐待やいじめを早期発見・対応するため市川市は、弁護士や市川・行徳両警察署、民生児童委員、人権擁護委員など約20人で「いちかわ子ども人権ネットワーク」を組織、7日に設立総会を開く。子供の虐待が社会問題となっている現在、市川市内でも5月と7月に、親の虐待を受けた幼い子供が死亡する事件が起きている。同ネットワークは「子供の人権に関する相談、救済のための連携や調査・研究活動など、連絡を密にしながら横断的に対応」(総合市民相談課)し、具体的に 子供電話相談 子供人権ミニレター、 研修会・講演会の実施、 市民サポーター制度の導入−などの事業を展開していく。県内では初めてで全国的にも珍しいケースだけに、同ネットワークが単に情報交換・連携だけにとどまるのか、具体的に起きた事例に対処していくのか、いま一つ見えない部分があるが、各方面から注目されている。
 虐待は家庭の養育能力の低下−という県市川児童相談所(市川市・浦安市・船橋市・鎌ヶ谷市を管轄)に最近、子供の虐待について通報が急増しているが、これは「これまでは氷山の一角だったが、周囲の問題意識が高まってきたことが要因。本人からの通報が多くなったのが特徴」と同相談所。
 しかし、通報の内容が必ずしも虐待に該当するものばかりではない。平成10年度に市川児童相談所に届け出られた約2000件の相談のうち、「市川市内での対応件数は8件(前年度比7件減)で、内訳は身体的暴力3件(同7件減)、保護怠慢3件(同2件減)、性的暴力1件、登校拒否1件となっている」(市川市こども課)。
 虐待の原因は多様−という同児童相談所は、 夫婦関係がうまくいっていないため、育児の協力体制がなく、女性に子供の子育てを押しつける 子供がほしくない−などの社会状況も加味され、「ひと言ではいえない、複雑なのが現状」という。
 対応として、児童相談所では「命や身体的にかかわる緊急的、深刻な事例については親子分離を図っている」。また「地域担当者会議の組織のなかで、相談のあった家庭について各行政など関係機関と役割分担しながら、地域をあげての体制づくりを行っている。子供を施設に預けて一件落着ではなく、元の家族形態に戻るまで家庭をサポートしていく」という。

中高層住宅の救急業務に消防隊も同時出動体制  市川市消防局は1日から、中高層住宅(3階以上)の救急業務に救急隊が出動する際、消防隊も同時出動し、救急業務の支援活動を行う体制を組んだ。これまで高速道路などの交通事故や、独居老人宅からの「あんしん電話」通報による救急業務などは消防隊も同時出動体制で臨んでいたが、さらなる充実と強化を図る−という。3階以上の中高層住宅の救急業務に消防隊が出動するのは、県内で初めて。
 救急車の出動回数は年々増加、救急隊員の疲労が増えている。とくに3階以上の建物から急病人を搬出する場合、車付きのタンカがエレベータに入らないため階段で搬送しなければならないなど、一刻も早い搬送をするためには、救急隊員3人と一緒に出動した消防隊員5人の人力が役に立つという。

市川市ボランティア・市民活動推進懇話会発足    ボランティアや市民活動をさらに推進する目的で、公募市民5人とボランティア・市民活動関係者13人の組織「市川市ボランティア・市民活動推進懇話会」(会長・延藤安弘千葉大工学部教授)は5日、第一回の会議を開き、今後の方向性などを話し合った。県内では初の同懇話会。延藤会長は「問題・課題状況のマップをつくる」ことを提案し、委員にこれまでの取り組み状況や考え方などを求めた。結果 多くの市民の共感を呼び起こそう もっと横の水平的な関係を大事にしよう 私発協働の世界 論より実践をしていこう 意外性のある取り組みを創造的に考えていこう−と意見を集約。キーワードを各項目の最初の文字からとって「おもしろい」とし、動きながら、走りながら、頭を柔らかく持って、会合を行っていきたいの方向性をまとめた。
 懇話会の目的を同市ボランティア支援課は「市におけるボランティア活動や市民活動をさらに推進させてゆくため、市民・ボランティア活動団体と行政が互いの役割を尊重しながらパートナーシップを形成し、ボランティア・市民活動に対する支援のあり方のルールづくりを行っていく」という。
 委員からは「自分たちの活動を市民に広く知ってほしい。何か地域活動をしたいが、どこにいけばいいのか−など市民の声が聞こえるので、関連情報の一元化やボランティアする大きな拠点がほしい」「市民活動の実態を知りたい」などの意見が出され、「対話と交流の拠点・場つくり。風通しのよい広場つくり。何が目標なのかを明らかにしながら、市内の実態を知る」ことから取り組む予定。次回は11月19日午後6時半から(場所は未定)、音楽と地域まちづくりを音楽家・河野典子さんとアンサンブル市川代表・吉田直さんが発表、子供に対する地域のかかわりを子育てネットワーク事務局・原由美さんと大芝原自治会会長・岩淵義男さんがそれぞれ発表してフリートーキング、分科会へと進行する予定。

 ◇市川市ボランティア・市民活動推進懇話会委員
 ▽会長・延藤安弘(千葉大工学部教授)▽副会長・小坂雄二(シーズ=市民活動を支える制度を作る会事務局)・荒川浩(いちかわ地球村代表)・岩淵義男(大芝原自治会代表)・畝本昌介(県ユネスコ協会連協会長)・大西純子(市川市ボランティア連絡会会長)・小川静枝(手の会代表)・小川栄(公募市民=主夫)・熊谷良子(子ども育成会連協役員)・河野典子(公募市民=音楽家まちづくり工房主宰)・国府浜敦子(CS市川役員)・斉藤美智(一般公募市民=主婦)・都築順子(市川ユーアイ協会会長)・西沢君枝(社協職員)・原由美(公募市民=子育てネットワーク事務局)・広瀬俊介(環境デザイナー)・吉田直(アンサンブル代表)・吉原広(公募市民=劇作演出家)


建設省の強気発言が目立つ  市川市議会の東京外郭環状(外環)道路特別委員会(岡部寛治委員長)が12日に開かれ、建設省首都国道工事事務所や道路公団、県などの担当者が回答・説明を行った。今年4月の市議改選後初の特別委員会。すでに施工命令も出ていることから、建設省の強気の発言が目立ち、委員の質問もいま一つ精彩を欠いた。外環松戸市・市川市区間は昨年12月25日、建設相から道路公団に施工命令が出ていることから、建設省は「高谷・田尻地区の住民に対する設計・用地説明会を、今年度内を目標に行いたい。用地は平成12年度内に、これまでの買い取り要望から、計画買収に以降したい。また12年度に道路・構造物設計の住民説明会を自治会単位で行いたい」など、一気に事業進展の構えを示した。
一方、外環反対連絡会は「すでに供用されている埼玉外環は一日の交通量が予測を大きく超え、騒音も大気汚染もさんさんたる状況」と指摘。こうした埼玉外環の状況がありながら、県の公的機関である環境影響評価の見直しさえしないまま、工事を強行することは断じて許さないと、「外環道路の工事中止と影響評価のやり直しを求め、県公害審査会に公害紛争処理法に基づく調停を申し立てる検討会を発足する」と反対の姿勢を強めている。
 同事務所は外環松戸・市川区間の「用地取得率は今年7月現在、松戸市約97%、市川市56%、県区間全体で約63%。これまでの用地収得費約2千億円。また、高速専用道路とは別の一般道路の建設にかかる費用は約4千5百億円」と明らかにした。

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