市川よみうり9-99
市川よみうり1999年11月
行徳可動堰の改築は地域住民の意見を聞きながら 江戸川の行徳可動堰(せき)改築に、地域住民の意見を聞き、合意形成を目指したいと、建設省江戸川工事事務所は11日午後3時から、市川市消防局で「行徳可動堰懇談会」を開く。同事務所は「現在の可動堰が上下流に異なる河川環境を抱える施設であり、行徳橋が地域の交通路として機能していることや、堰周辺の河川空間が地元の憩いの場となっているなど、地域住民の生活と密接な関係がある施設」と位置付け、「地域住民や地域で活動している市民団体、河川利用者、自治体、河川管理者など25人のメンバーが一堂に会して情報共有、意見交換を行い、合意形成を目指すもので、意見は環境対策などに反映していく」という。。
 同工事事務所では今後、平成13年度予算に概算要求する予定で、総事業費300億−400億円を見積もっている。工期は「おおむね合計10年を予定。現在の堰よりも上流約170メートルの位置に設置。幅 は現状の約100メートルから約200メートル以上となるが、施工性や堰周辺の自然環境をできるだけ改変しないことを考慮する」と説明。
 一方、市川緑の市民フォーラムなど市川市内の自然環境保全五グループは同13日、連名で江戸川工事事務所長にあてて「里見公園下の堤防工事ならびに行徳橋新設計画に対する要望書」を提出。「老朽化で工事の必要性はある程度理解できる」とした上で、改築による拡幅で「絶滅危惧種ヒヌマイトトンボやトビハゼの生息する両岸の干潟も完全に失われる」と危機感を募らせて、「三番瀬の干潟と浅瀬にどのような影響を与えるかを調査、環境影響評価を行うべきである」と要望している。  

外環道路は早期着工で利益を地元業者に市川商工会議所(米山精次会頭)建設・不動産部会は10月27日、建設省首都国道工事事務所や市川市の職員から「東京外郭環状(外環)道路の進ちょく状況について」、質問を行った。あいさつのなかで米山会頭は「外環道路は早期着工。工期は長くにしてもらい、利益が地元業者のすみずみまでいき届くように要望」し、川上恵洋副会頭が「一日も早い、外環道路のオープン」を強く求めた。「工事は地元企業を最優先」の要望に、首都国道工事事務所は「私どもが決められるものではない」と断りを入れた上で、「工事の規模によってだが、地元指名が有利になるのではないだろうか」と明解な回答を避けた。
 質疑のなかで大和田地区から新田地区までの三栄商店会から、「計画では商店会のど真中を外環道路が通過。住民も引っ越して、各商店にも影響が出始めている。商店会に買収した建設用地を駐車場として、開放してほしい」と要望。すると、今年7月に着任したばかり−という首都国道工事事務所担当者が「三栄商店会はどこにあるのですか」と逆質問。傍聴していた市議の一人から「三栄商店会を知らないということは、自分の仕事がどこにあるのか知らないと一緒。市民が置かれた状況や心を知らなすぎる」と叱責される一幕も見られた。       

3人に市川市名誉市民証を授与  市川市は1日、前市長・高橋国雄氏(79)、精神科医・故式場隆三郎氏=享年67、ガラス工芸家・藤田喬平氏(78)の3人を名誉市民と決定。3日、同市文化会館で行われた市制施行65周年式典で、千葉光行市長から名誉市民証が授与された。  
 高橋氏は市役所に就職して以来38年間、一般職・助役と市に貢献。昭和52年に市川市長初当選から20年間、職務を務め、通算58年間、市政発展のため精力を注ぎ、生涯学習センター、クリーンセンター、保健医療福祉センターの建設など数々の施策を実現。平成10年勲三等旭日中綬章を受章。
 故式場氏は精神科医で活躍の一方、長年にわたり芸術・文化など幅広い分野に関係し、国立美術館の建設促進運動を行うなど各界に多大な貢献。画家の山下清氏を世に出したのは有名。ゴッホ、ロートレックの研究家としても知られ、その著書多数。昭和40年に正五位勲三等旭日中綬章を受章。
 藤田氏は日本を代表するガラス工芸家として活躍。その作風は日本美の伝統を最も良く生かす一方で、カンナ文様ガラス器などに表現されるように、時代性や国際性に特徴があり「フジタガラス」として国際的にも高い評価を受けている。平成元年、日本芸術院会員に推挙。平成6年、勲三等瑞宝章、同9年に文化功労者、紺綬褒章を受章。

行徳可動堰の改築計画に多数が賛成意見  老朽化に伴う江戸川・行徳可動堰(せき)の改築計画を進めている建設省江戸川工事事務所(堀江富夫所長)は、「地域主体の懇談会を進めていきたい」と11日、市川市消防局で地域住民や市民グループ、河川利用者、地元自治体など25人で組織する「行徳可動堰懇談会」を開き、委員から、今後の懇談会の進め方や要望などの意見を聞いた。これまでに建設省が主催したさまざまな住民説明会や、自然保全グループなどの懇談会と違って、今回は初めて、マスコミや一般にも最初から完全公開で行われた。同工事事務所は「行徳せきは設置後40年を越える歳月が経過、海水の影響によりゲートが腐食するなどせきの老朽化が進んでいる」と説明。さらに「せき部分の川幅が狭くなっているため、江戸川の水を安全に流す能力が不足していることなどから、早急に改築する必要がある」と理由を説明。改築後の位置については「現せき建築後約40年に形成された環境を、出来る限り改変しないことを第一にする」と前置き、現在の位置より上流と、同下流の3か所を比較検討した結果、「建設中に現せきの運用が可能。下流干潟への影響が最も少ない。施工性が良い−などから、現せきの直上流約170メートルを予定している」。
 改築計画にはそれぞれの委員から「反対する理由がない」「むしろ遅すぎたのではないか」「工事で影響を受ける地元住民の理解を求めてほしい」などの賛成意見が出され、反対は「利根川治水計画を見直す良い機会。こんな大きな可動せきは必要ではないのではないか」以外はほとんどなかった。今後の懇談会を進めるに当たっては、「大きな工事で、上下流の河川敷が具体的にどのように変わっていくのか。江戸川のハゼそのものにどのような影響がでるのか。下流の問題、三番瀬の問題など詳細な資料を出してほしい」との要望された。また「トビハゼがいる。生息地として全国で最も北限。このせきで干潟ができたが工事で消滅しトビハゼにも影響する。十分、考慮してほしい」との要望もあった。 懇談会運営は、「特定の専門的分野は別途、学識経験者から意見を聴くことができるものとする」と専門部会を置くことを確認。

 ◇行徳堰懇談会委員
 東良一(行徳野鳥観察舎友の会会長)・池生英知(県企業庁葛南工業用水道事務所長)・石井信義(市川中高教諭)・伊藤勝祇(行徳釣船遊船組合部会長)・落合一郎(市川市行徳漁業協同組合専務理事)・金子謙一(市川自然博物館学芸員)・黒瀬博行(都水道局金町上水管理事務所長)・小森浦松(信篤二俣地区地区連合会会長)・佐野郷美(市川緑の市民フォーラム事務局長)・鈴木繁俊(河原自治会長)・鈴木孝男(市川市水と緑の部次長)・高崎勝(稲荷木自治会長)・高橋義光(県葛南土木事務所長)・田草川信慈(市川市都市政策室長)・田久保晴孝(三番瀬を守る会会長)・田中利勝(江戸川の自然環境を考える会代表)・田中正彦(北限のトビハゼを守る会代表)・中村正孝(市川市環境部次長)・新村義彦(江戸川区土木部計画課長)・藤原信一郎(江戸川環境ネットワーク世話人)・町田恵美子(行徳の自然に親しむ会事務局長)・松沢文治(行徳地区地区連合会長)・宮尾博一(建設省江戸川工事事務所長)・堀江富夫(同副所長)・津森貴幸(同調査課長)


三番瀬の埋め立て計画で環境庁と県に要望書市川市は15日、千葉市長が環境庁、土屋助役が県企業庁を訪れ、それぞれ清水嘉与子環境庁長官と沼田武知事にあてた三番瀬の保全と利用・市川二期地区計画に関する要望書を手渡した。市川市が三番瀬関連で環境庁を訪れ、要望書を提出したのは今回が初めて。
 環境庁長官への要望書では、三番瀬が東京湾に残された貴重な自然空間であるとの認識を強くしている−と前置き。「埋め立て計画地・市川塩浜駅周辺部・行徳内陸部を一体とした自然と共生する街づくりを進めていきたい。また、市川市のみならず、東京湾を取り囲む首都圏の人にも、東京湾に残された貴重な自然に親しみ、江戸前の幸を楽しむことができる地域としていきたい」と述べ、「自然干潟の保全や人工海浜(干潟)の造成などにより、自然回復と浅海域漁業振興の全国的なモデルとして、同時に、渡り鳥の飛来地として地球規模の環境保全の役割を担うために海と干潟の研究・学習の場としていきたい」と、同庁の理解と協力を求めている。
 また三番瀬の現状にふれ「埋め立て計画地の浦安・猫実川河口部一帯は、都市化に伴う地盤沈下や過去の一期埋め立て事業による不自然な地形、海砂による人工澪(みお)の存在などにより、潮流の滞留、有機物の堆積、アオサの繁茂・堆積、ゴミの不法投棄など課題が山積している」と現状を述べ、市民は30年間にわたって貴重な海と隔絶されてきた−と訴え、このまま、放置することは「より一層の漁業環境の悪化を招き、漁業と一体となって維持されてきた自然環境バランスの崩壊が危ぐされる」と続けている。
 このため、生態系重視の公園緑地整備及び行徳近郊緑地特別保全地区の再整備と連携して「計画されている公園緑地はかつてあった三番瀬の良好な環境を再生するなど、海の生態系を重視するとともに、人工海浜(干潟)の造成などで市民などが海に親しみ、憩い、自然を学べる親水型の海浜干潟公園としたい」と具体案を提示。
 さらに、漁業環境の再生として「人工澪の埋め戻しや人工海浜の造成、藻場の整備などによる青潮対策や潮流停滞域の改善、魚類の生息場の確保などを進める必要がある」と述べ、海と干潟に関する研究と学習の場づくりとして「国際的な野鳥飛来地の役割を恒久的に担っていくため、三番瀬の隣接地に海の生物や干潟の保全、人工海浜などによる環境改善などを研究するとともに、市民が学習することができる海と干潟の研究・学習の場を設けることを検討していただきたい」と要望している。
 県への要望書では、今回の三番瀬埋め立て面積を縮小する市川二期地区計画見直し案を高く評価した上で、街づくりの支援用地確保と活用、公園緑地整備及び行徳近郊緑地特別保全地区の再整備と連携、下水道終末処理場の整備と上部利用、広域幹線道路の整備、漁港及び漁業関連施設の用地の確保と整備、漁業環境の再生、護岸の整備 臨海部の課題解決−などを要望している。  


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