市川よみうり2007年7月
命をテーマに=八幡小・読書月間市川市立八幡小(横田恒幸校長、児童数674人)は6月、いのちのキャンペーンと銘打った読書月間に取り組み、全校児童や教諭、保護者が、人間の“やさしさ”について改めて考えた。
 同校では、朝読書や国語の時間の読書指導、読書を生かした総合的な学習の時間など、読書活動に積極的に取り組んでいる。毎年春と秋には読書月間を設け、年に一度は作者を招待して話を聞いている。図書館員の加藤秀子さんは「世の中の様子や命の大切さ、人と人とのふれあいなどを、読書を通じて感じてほしい。命は子供たちにとっては重いテーマで、普段は手に取らないものかもしれないが、読み込んでいくことで自分のものにしてほしい」、横田校長は「学校の方針に“あったかハート”を掲げている。子供たちの心が温かくなるような活動としたい」という。
 六月は、子供たちたちの影響を受けて読書活動に積極的になった保護者が紹介した児童文学作家の丘修三さんの本。丘さんは養護学校教諭を25年間勤めた人で、作品は障害やいじめを通して命の大切さを見つめるもの。子供たちが取り合いになるほどブームになった。読書の感想は、給食の時間に本人が校内放送でも紹介している=♂写真♀。
 加藤さんは読書について、「一冊の本の重みは、生きていく上での大きな糧になる。大人になっても、昔読んでよかったと思える本にたくさん出合ってほしい」と同校に赴任以来、積極的にさまざまな読書活動を進めている。保護者による学校での読み聞かせが行われているほか、子供たちが友達や兄弟学級の“弟”や“妹”たちに紹介したい本を図書室のポストに投函し相手に伝える読書郵便にも、たくさんの“お勧め”が集まっている。
 
患者同士で気楽におしゃべり=失語症自主グループ「青空の会」脳卒中などの病気や交通事故などで頭部に外傷を受けて発症し、頭のなかでは分かっていても口に出せなかったり、間違えたりしてしまうコミュニケーションの障害、失語症。市内に今年度から、当事者と家族による浦安市失語症自主グループ「青空の会」(鈴木宏承会長)が発足し、メンバーはコミュニケーションの訓練に励んでいる。
 昨年4月の診療報酬の改定で、病院や診療所で受けるリハビリが無期限から180日に制限され、失語症を中心とした高次脳機能障害のグループ訓練は事実上廃止された。同障害は100%完治せず、患者は後遺症をともなって退院する。グループ訓練は、言葉やコミュニケーションの練習の場であるとともに、同じ障害をもった先輩の元気な姿を見ることで希望がもてること、同じ障害をもった者同士しゃべりやすいことなど重要な場となっている。
 同会は、江戸川病院で運営されていたグループ訓練に浦安から通っていたメンバーが診療報酬の改定後、病院の外で訓練を続けていくなかで、浦安市や中核地域生活支援センター・がじゅまるの支援を受けて、同市総合福祉センターで活動を開始した。
 活動は毎月第3土曜日の2時間。同会の趣旨に賛同する約10人の言語聴覚士(ST)や作業療法士(OT)の協力を得て、最初の1時間は女性の会「ひまわり」や男性の会「青べか」、写真好きの「心の扉」の3グループに分かれて、ニュースや身の回りの話題、写真をテーマにしたおしゃべりを楽しんでいる。後半は新聞から感心のある記事を選んで説明し、相手の話を聞く「新聞を見る」のほか、「口の体操・ゲーム」「体操ダンス」の各グループで、緊張感をもち、楽しみながら訓練に取り組んでいる。STや患者の見学も多い。見学の申し込みや問い合わせは、がじゅまる(TEL300・9500番、FAX300・9509番)。

市川初の溜池利用公園=大柏川・第1調節池県はこのほど、市川市北方町4の1444の59外に、大柏川の洪水被害を軽減する大柏川第1調節池を開園した。通常は、緑や水辺の環境をいかし、野鳥や昆虫など自然あふれる場所としても楽しめる。河川調節池を利用した公園は市内初。
 調節池の面積は約16ヘクタール(約4万8千485坪)。大柏川を流れ下ってくる洪水の一部を貯留し、下流域の浸水被害を軽減する施設。1時間あたり50ミリの強い雨が降った場合に25万4千立方メートルを貯めておくことができる。
 通常は半分強の約8.7ヘクタール(約2万6千364坪)を自然環境創造型の公園として開放する。調節池の掘り込み部分に大小15の水深50センチメートル〜1メートルの池が整備され、これまでに70種類を超える野鳥が観察されており、同河川流域の自然が戻りつつあるという。調節池内は多様性のある水辺、自然環境の復元を行う区域として整備した。
 開園日には近隣の市民が多数訪れ、市民ボランティアの北方遊水池の会の解散で発展的に生まれた「ぼっけ生きもの倶楽部」によるガイドを受けるなど、思い思いに公園内を散策していた。佐藤宏軌くん(7)は家族で訪れ、草の茎でザリガニ捕り。母親の祐子さんは「子供は虫捕りやザリガニ捕り、私たちはウォーキングなど、のんびり楽しめそう」と、広い自然豊富な公園の空気を楽しんでいた。
 芝生の上で食事をする女性と子供の友人グループは「この辺にはみんなで集まってご飯が食べられたり、のんびりできたりする公園は意外と少ないんです。水辺ももちろんいいが、子供たちが寝っ転がって遊べる芝生がもっとほしい」と話していた。
 公園には緑地内での環境学習のための拠点であるビジターセンターもあり、調節池の機能や自然の紹介、体験学習などが可能。
 開園時間は夏期(4月―10月)が午前9時半―午後4時半、冬季(11月―3月)が午前9時半―午後4時。駐車場は26台(無料)。

生物と地球温暖化について=入船北小・わくわく実験浦安市立入船北小(加藤隆之校長、児童数189人)でさきごろ、地球温暖化について学ぶ「わくわく実験びっくり箱」が開かれ、5年生28人が理科の実験とサンゴをテーマに生物と地球温暖化について理解を深めた。
 同授業は、製薬・総合化学企業のバイエルが平成15年から行っている、応募校を対象とした実験教室。実験を通して理科の楽しさを知ってもらい、子供たちの理科離れを解消することが狙い。
 子供たちは、サンゴに塩酸をかけると二酸化炭素が発生することから、人間が文明化でたくさんつくり出してしまっている二酸化炭素をサンゴが取り込み殻化していること、二酸化炭素が空気よりも重く、水に溶けやすい性質をもつことを、体験しながら学んだ。講師を務めた同社員の野ア伸司さんは「サンゴは3億年前から海のなかで二酸化炭素を吸収してくれている。サンゴと人間は親子のような関係。だが、人間が二酸化炭素をたくさんつくり出してしまっているため地球温暖化が起きて氷が溶け、海水温度が上昇してサンゴが死んでいる。二酸化炭素を出さないような生活をしましょう」と訴えた。
 日本バイエルのミヒャエル・ポートフ代表は、「化学は私たちの生活にとって身近なものです。ぜひ化学への興味をもってください」と、子供たちに身の回りの不思議を体験していく大切さを伝えた。担任の林菜々子教諭は「通常の授業では材料を用意できなかったり、時間的な余裕がなかったりする。このような授業がいつもできると、子供たちの興味をもっとひきだせるかもしれない」と話していた。
 
通学路を安全に「確認隊」出動=大町小・地域有志4人市川市立大町小の通学路で、毎朝4人の地域住民グループが、子供たちの見守り活動を行っている。グループの名前は、「子供の安全通学確認隊」。毎朝、黄色い旗を持って交差点に立つ姿は、子供たちにすっかりなじんでいる。
 この見守り活動は、10年前、大町に住む森尾知さん(74)が、孫の同校入学を機に一人でスタート。その後は賛同者も加わり、現在、4人のメンバーで活動している。先月には、これまでなかったグループ名を10年目にして決定。自分の氏名とともに記載した名札を作り、活動中に首からぶら下げている。
 孫の卒業と同時に、見守り活動もやめようと思っていたが、「子供たちの輝いている目にひかれてやめられなくなった」という森尾さん。子供たちからしてくれるあいさつが、この活動の楽しみになっているという。
 また単に見守るだけでなく、話に夢中になったり、下を向いたりしている児童には、「周囲をもっと確認するように」と注意もしている。同会は、「この活動は犯罪の抑止にもつながる。もっと多くの人に参加してほしい」と活動の広がりを期待している。

市民が楽しめる森に=「わんぱくの森」を整備市川市や近隣市の住民をメンバーとする「わんぱくの森の会」(深野靖明代表)が、市川市立大町小に隣接する「わんぱくの森」の整備に励んでいる。同会は、里山整備の実行部隊としては市川市内で最初にできたグループ。「合意すれど強制せず」をモットーに、“市民が楽しめる森”の復元に向け汗を流している。
 同会は、ちば里山センター主催の里山フェスティバル参加者14人で昨年6月に結成し、現在会員数は24人。およそ2ヘクタールあるわんぱくの森の1.5ヘクタールほどを、毎月第1木曜日と第3土曜日に草刈りや枯損木の伐採、ゴミ拾いなどを行って整備している。
 もともと人が手を加えてきた里山は、放置しておくと同じ種類の木ばかりが密集し、光も入らず、下草も生えない“暗い森”となる。高く伸びた木も幹は細く、葉が茂っているのは最上部だけで、枯れて斜めに倒れ掛かっている木も多い。
 同会は、森に光が差し込む空間を確保することで、木々の生長と植物の多様性を維持し、市民が楽しめる森の復元を目指している。活動日は月2回だが、参加するかどうかは会員の自由。参加した会員たちは、心地よい汗を流したあと、街中よりも涼しい風を受けながら、持参した弁当を楽しんでいる。
 「楽しくなければ来ない」「楽しみが半分、『皆さんの役に立ちたい』という思いが半分」と笑う会員たち。その生き生きとした笑顔が、活動による充実感を物語っている。  同会は、常時会員を募集している。問い合わせは同会・深野さん(TEL388・0200番)か大峡さん(TEL080・6589・4885番)。
       
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