市川よみうり & 浦安よみうり online

連載「ホンネで語る 教育の理想と現実」


人間形成と教育環境

 ヒトは教育無しでは人になり得ない。人になるには、そのための養育・教育環境が必要であり、その良し悪しが子供の成長に影響を与える。

 ヒトとして生まれた子供は他の動物と違い、人間として成長・自立するまでに十数年を要し、その間の養育・教育環境の質が人間形成を決定づける。

 ヒトが人として一人前になるには、人間形成の原点である家庭が成長発達のカギを握る。乳幼児期の母親の抱きしめる愛と、学童期あたりからの突き放す父親の愛というバランスのとれた愛に包まれることが大切。そのような環境の中で、新生児期の食物・睡眠・排泄など生命維持のための生理欲求、幼少時期における安全欲求が満たされ、学童期には人から愛情を受けるという経験が、人に愛情を与えて周囲の人と平和で親しい関係を保ちたい、集団に受け入れて欲しい、という愛と所属の欲求を満たす。

 次に高度な尊敬(承認)欲求、更により高度な自己実現欲求を持ち、価値あるもの、いわゆる真・善・美を求めて行動するようになる。この発達段階の過程で、一つでも満たされなければ次の段階に進むことができないため発達障害になる。

 子供が健全な発達を遂げ、豊かな感性や知性を持ち、人間性豊かで優れた人格を形成するためには、発達段階に応じた育児環境・教育環境が無ければならないが、現代はそれとは程遠い劣悪な環境といわざるを得ない。幼児期に食物を与えられないなど生理欲求すら満たされない子供がいる。生活環境の中にあるさまざまな危険に対して自己防衛しようとする行動の推進力となる欲求が安全欲求であるが、最も安全であるべき家庭内で起こる幼児虐待や学童期の愛情欲求が満たされないことで、いじめをする、非行に走る子供がいることは悲しむべきことである。

 欲求の現れ方、満たされ度合いは個々人によって違ってくる。子供たちを年齢で学年を決め、クラス分けしているのが学校であることを考えれば、画一一斉の指導が誤りであることは自明である。ましてや全国同一の学力テスト問題を実施し、点数をもって評価・評定し、序列化するなど、教育者としては考えられない愚行であり、子供にとってはこの上ない不幸である。

 行動遺伝学の最新研究では、子供の知能や性格、精神疾患は遺伝だという。もしそうなら、養育・教育の在り方そのものが根本から覆ることも想定しておかなくてはならない。
 
 (2018年1月3日)  

ホームページ
「教育の理想と現実」リスト