市川よみうりonline
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実際に起きた消費者トラブルをコントに仕立て上げ、さまざまな場所に出向いて披露する消費者出前啓発劇団「コントdeげき隊!」が、県内各地で出前公演を行っている。三世代市民の文化交流活動に取り組む「NPO法人いちかわ市民文化ネットワーク」(吉原廣代表)が、県の委託を受けて今年9月に立ち上げた同劇団。劇団員たちは、各地で笑いを交えて詐欺被害防止を訴えながら、現在もそれぞれのコントに磨きをかけている。
同NPOの「笑いとともに被害防止を訴えよう」という呼びかけに、当初集まった劇団員志望者は約30人。その後、仕事との両立が難しいなどの理由で約20人まで絞られた。高齢者を中心に残ったこの20人は、ほとんどがコント初心者。「セリフ覚えに時間がかかる」(吉原代表)など初心者や高齢者ならではの苦労もあるが、それぞれ「(高齢の)自分にもできるということで元気を与えたい」「詐欺事件が減っていくように努力したい」などという強い思いで稽古に励み、発足から1か月足らずで出前公演を始めるまでに成長した。
出前公演は、4~5人1組で依頼者の元を訪問し、「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」「催眠商法」「訪問販売」などの詐欺の手口を15~30分のコントにして披露。これまではデイサービスなど高齢者向けの施設からの依頼が多いが、若者向けにも「インターネット詐欺」のコントを用意しており、学校などからの依頼にも対応できるという。
5日に松戸市のデイサービス未来倶楽部で行われた出前公演には、60代から70代までの劇団員5人が出演し、60代から100歳までの同施設利用者の前で「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」「床下工事」の3作品を披露した。オレオレ詐欺のコントでは、詐欺にひっかかる高齢男性の姿を滑稽な動きや口ぶり、表情などで面白おかしく演じ、利用者たちは大笑い。その後、総まとめとして「携帯の番号が変わったと連絡があったすぐ後にお金を無心して来る」など、詐欺のポイントについては笑いを交えず分かりやすく説明していた。終了後、女性利用者は「分かりやすくて楽しかった。いい勉強になりました」と大満足。劇団員たちは「反応があってやりやすかった。同世代が演じることで親近感が湧き、より効果があるのでは」と期待していた。
なお、同劇団は現在も出前公演の依頼を受け付けている。費用は無料。県の委託事業としては来年2月末で終了する予定だが、吉原代表は「その後もボランティアで続けていきたい」としている。
問い合わせは同NPO(☎339・7809番)。
市川市文化会館で
全15作品一挙上演
同劇団がこれまでに作り上げたコント全15作品を上演する「自前公演」が、あす16日午後2時から市川市文化会館(大和田1の1の5)で開かれる。予約不要。入場無料。
問い合わせは同NPO。
笑いを交えて被害防止
消費者トラブル、コントで撃退
2012年12月15日土曜日
笑いを誘いながら詐欺防止を訴える劇団員たち