市川よみうり

今週の人

打ち上げて、見てもらう“二重”の喜び

三世代にわたり行徳で花火を上げ続ける
野口 進さん

  

 「多い時には二千発の花火を上げましたよ」。市川市湊新田・胡録神社の祭礼で花火を上げ続け、先々代から三代、少なくとも六十年以上の付き合い。地域では人気の花火だったが、街の発展とともに観客が多くなり過ぎて彩り豊かな花火はなくなり、「ドン、ドン、ドン」という空包に替わった。

 いまでは各地で開かれる花火大会だが、昔、この地域では両国(現隅田川花火大会)と行徳でしか開かれておらず、浦安や市川、東京からも多くの人が訪れた。「いまの祭礼の人混みどころじゃない。身動きが取れないくらい」と振り返る。

 東西線が開通し、街が大きくなるたびに打ち上げ場所は変わったが、昭和五十年代終わりごろまで続いた。街中での打ち上げは楽ではなかった。でも、やりがいがあった。「一つの自治会が一発でも多く上げたい―と寄付を集めてくれた。その気持ちがすばらしく、ありがたい」。四十発の空包に伝統の名残が息づく。

 やはり、上げてみなければ分からない花火。歓声と拍手が心配で、観客席に混じって反応を見ることもある。「自分で作って打ち上げるだけで喜びがある。それを一般の人が喜んでくれる。二重の喜びです」。六十七歳。行徳の花火は「絶対やめたくない」。


(2009年8月1日)

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今週の人

モチベーションを高めるのは観客の笑顔

10周年を迎えた「コンサート水の輪inいちかわ代表
須田 節子 さん


渡辺 裕子 さん

 障害者を会場に招き、収益も全額寄付するこんさーと水の輪。埼玉・三郷市で開かれているこのコンサートに感銘を受け、渡辺さんが須田さんに「市川市でもできないかな」と持ちかけた。須田さんにとっては「幼少から続けている音楽で社会に何かを返したい」と考えていた時期。企画から約一年で第一回が実現した。

 音大生時代に音楽に対する疑問をもち、卒業後に一度音楽から離れたという共通の過去をもつ二人は「家庭の仕事をこなしながら長く続けていくためには互いに必要」なコンビ。ひらめいたことにすぐ手を付ける行動派の渡辺さんと、几帳面で周りへの気遣いを第一に考える慎重派の須田さんは、「二人合わせて百%。うまくバランスがとれている」という。

 一番やりがいを感じるのは、「正直な反応をする障害者たちが、本当に楽しそうにしてくれたとき」という渡辺さん。「来てくれた人たちを喜ばすために、小規模でもいいので地道な活動を続けたい」と願う須田さんともども、観客の笑顔でモチベーションが高まっている。

 「二十周年の時には、この水の輪をより大きなものに広げていたい」。その時六十代となる二人は、それぞれが活動する音楽団体でもさらなる躍動を続けていく。


(2009年8月8日)
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今週の人

時間を有効に、やると決めたら必ずやる

全国高等学校将棋竜王戦県大会優勝
三重野 雄貴さん

 幾多の難局を乗り越え七局を全勝。

 将棋では市川高初の県代表となった。「目の前で相手と対峙し、表情や態度で相手の心理を推理しながら、戦術を考えるのが楽しい」と将棋の魅力を語る。

 性格は「こだわっていることには負けず嫌い」。将棋を覚えた約十年前から、「誰かに勝ちたい」と練習に励んだ。多いときでは放課後の大半を近所の道場で過ごし、有段者などとの対局を重ねた。しかし、中学生になり初挑戦した大会の本戦初戦でまさかの敗退。「現実を知った」と、その後徐々に将棋から離れていった。しかし、高校に上がった今年度から、同校の将棋同好会に入会。インターネットの対局で腕を磨く傍ら、初心者に教えるという同会での新たな役割が、将棋を再度勉強することへの意欲にもつながり、今大会での躍進を生んだ。

 最近では将棋だけでなく、政治や経済、資格取得など、多くのことに興味をもつが、もちろん学業との両立が前提。「好きにやっていいけど、責任は自分でとりなさい」という両親の教えのもと、「限られた時間を有効に使い、やると決めたことは必ずやる」と自分の生活を律している。目下の目標は二十四日から行われる全国大会。「一つでも多く勝てるように頑張りたい」と静かに燃える十六歳。


(2009年8月15日)
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