市川よみうり & 浦安よみうり online

連載「人」

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「人」リスト〜2021年

私たちは希望つなぐ最後の世代

~ゴールドマン環境賞を受賞

 平田 仁子(ひらた・きみこ) さん

 学生時代に気候変動の問題を知り、大きなショックを受けた。卒業後は出版社に就職したが、「国も政治家も企業も何もしていない。自分にできることがあるのでは」と考え、1996年に退職して単身渡米。さまざまなNGOや環境問題について学んだ。

 翌年帰国し、NPO法人気候ネットワークの立ち上げに参加。以来、理事として、メンバーとして、持続可能な社会の実現に向け国内外を飛び回りながら、休日も地元市川市で再生可能エネルギーの普及や導入、講演活動に励んでいる。

 温暖化防止に重要な太陽光パネル。景観問題などで摩擦を生まないため、地元のコミュニティが設置に関わることの大切さを説く。「電気は地方の大きな発電所から送るのではなく、地元で作って使えばお金も地域で回る。市川もそういう街にしたい」と願う。

 「温暖化は、食料の不足や高騰、それに伴うパニックや紛争などを引き起こし、人々の生活を崩壊させる」と、この問題の重要性を訴える。「2030年までに結果を出さないとアウト。私たちは、未来に希望をつなぐ行動ができる最後の世代」。  

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皆が参加するまちづくりしたい

~国交大臣表彰を受けた中山まちづくり協議会の会長

 杉山 巳佐喜(すぎやま・みさき) さん

 結婚を機に中山に住み、半世紀以上の月日が流れた。「中山にはお寺があって、商店街があって、皆さんが一緒に住んでいる。『緑が多くて良いですね』と言ってもらえる」と、すっかり大好きになった。

 「36年くらい前に大病を患ったけれど助かったので、余生は人のために使えれば」と、長年にわたって地元町会の役員や赤十字のボランティアを務めてきた。2004年に発足した同協議会の運営にも当初から参画。19年に会長に就任した。

 協議会では、原則として月に1回定例会を開き、景観や行事などについて議論。地権者との話し合いなども行う。苦労もあるが、「楽しく」をモットーに、「文化財が多い地域であることをいろんな人に知ってもらいたい」との思いで活動に励む。毎年2月に開く「中山のおひなまつり」で来場者が喜んでくれることなどが生きがいという。

 会員たちから「豪快な笑いが皆を力づけてくれる」と慕われる80歳。「老若男女問わず、皆が参加するまちづくりをしていきたい」。  

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つらかったこと全てが報われた

~東京五輪柔道男子100㌔級金メダリスト

 ウルフ・アロン さん

 柔道を始めて19年。目標の一つだった金メダルを手にし、「いままでにつらいこと、苦しいことがたくさんあったので、全てが報われた。これまで自分が正しいと思ってきたことをやってきて良かった」と安堵の表情で語る。

 東海大浦安高時代は、新小岩から10㌔弱の道のりを自転車で通った。自主性を重んじた竹内徹監督(当時)の練習時間は、他校と比べても短い1時間40分。余った時間は自ら考えて練習することで、〝自分で考えること〟の大切さを学んだ。「それが大学や社会人になってもつながっている」。柔道の土台は浦安で築かれた。

 板前さながらの腕前で魚をさばく25歳の料理男子。食べることも好きで、五輪前日の計量後にはおにぎり28個を食べた。「物欲は無いが食欲がすごい。食欲を抑える方法を教えてほしい」と笑う。

 「応援してくれた人にはあいさつして回りたい」と〝金メダル報告行脚〟にも忙しいが、いまはつかの間の休息時間。「次(パリ五輪)を考えたらあと3年しかない。少し休んだら、気持ちを切り替えて練習していきたい」。次に目指すは3年後の五輪連覇だ。  

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