「議会の品位貶める」決議に批判 市川市議会
多数議員退席の中で可決
「政治的言論封殺」に反対討論も

来年度予算を審議する2月定例市議会は、田中市長の市政方針演説で始まったが…
市川市議会で、本来の施策の審議とは異なる〝場外戦〟が続いており、「議会の品位を貶める行為」として、疑問視する声が高まっている。2月定例議会で問題になったのは、保守系会派の議員に対する決議。この議員が、自身の街頭演説の内容をアップしたSNS投稿を戒める主旨の決議が提出され、可決した。多数の議員が決議提出に反発して退席した中で、現職議員の政治活動を制限する内容の決議が可決されたことに、市役所内でも議会への不信感が広がった。
■予算審議の議会
12日に閉会した2月定例議会は、市長の市政方針演説で幕を開け、来年度予算を審議する重要な議会。その代表質問最終日の2月26日、問題の決議が出された。
提出されたのは、「加藤圭一議員による度重なる排外的・差別的言動に対し、猛省を促すとともに、特定の宗教、国籍または民族を理由とする差別的な言動を行わないよう求める決議」。
昨年2月に日本共産党の市議会会派を離脱、離党した徳武純平氏が提出者、地域政党チームいちかわ代表の丸金由紀子氏、同会派の野口淳氏の2人が賛成者に名を連ねた。
■賛成者は係争中
徳武氏は一貫して、ヘイトスピーチには、厳しい対応をしている。
対して、丸金氏は、昨年9月議会開会中、一人の市民の議会事務局への苦情をもとに、加藤氏を批判し、議会としての対応を求める要望書と、この市民が警察署に相談した際に作成された「相談経過票」を提出。
この経過票が、各会派代表者会議終了後の席上、大久保貴之議長の判断で、回収措置を取らずに配布されたため、名誉毀損にあたるとして、加藤氏が丸金氏に損害賠償を求めて提訴、係争中だ。
決議提出自体を問題視し、創生市川・自民党(7議席)▼自由民主の会(4議席)▼いちかわ市民クラブ(3議席)▼日本共産党(3議席)▼未来市川の堀内伸悟氏=日本維新の会=―が退席する中で、賛成多数で可決した。
無会派の越川雅史氏と、太田丈之氏=参政党=は、退席せずに反対票を投じた。
■自浄力機能せず
本来、適正な議会運営に資するべき最大会派の公明党、議長経験者らベテラン議員を抱える保守系の未来市川(堀内氏を除く)は、賛成に回った。
提出者と賛成者はいずれも1年生議員で、賛成した会派の議員からも、「支持者から、このような市議会運営に税金を使う必要があるのかと問われたら、答えられない」との本音が漏れた。
議会関係者によれば、大久保議長の決議の扱いの判断に関しては、議員から決議を提出された以上、「各会派代表者会議や、議会運営委員会の場で、提出自体を拒むことはできない」として、「今回は、議長の能力云々の問題ではない」という。
しかし、「市議会に対する市民、納税者からの反発に対する想像力があれば、事前に調整することは可能だった」(市役所幹部)との批判もある。
■越川氏の「正論」
退席せずに反対票を投じた越川氏は、決議に対する反対討論で、「議員の資質や言動に問題があるとの評価と、憲法や国際人権規範を個人に直接適用し、議会が多数決で言論を抑止することの是非は全く別次元」としたうえで、「政治的言論は、表現の自由の中核に位置付けられることから、許容限界の判断には、高度な法的検討と慎重な手続きが不可欠だが、欠落している」と指摘。
「法的裏付けを担保できるのか、証拠の精査や質疑の機会すら確保されないままの採決は、議決の正当性を著しく損なうと言わざるを得ない」とした。
また、「今回の発議が先例になるなら、今後は全議員のSNSを網羅的にパトロールし、同様に決議を出すことでなければ公平性に問題が生じるが、本当にできるのか、誰が責任を持って任務を遂行するのか」。
「客観的な評価基準や適正手続きが確保されないまま、同様の発議が繰り返されれば、抑止機能にすらならないばかりか、発議や議決の重みが損なわれ、市民からの信頼も損なわれない」と訴えた。
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