市川浦安よみうり online

市川市議会の問責決議
表現の自由など侵害で提訴
3市議は「提出」、議会は「可決」責任
「議会は有権者の不安に不誠実」

 市内の外国人問題に関する市川市議会への陳情や市民の声を踏まえ、自身が行った街頭演説のSNS投稿を「排外的・差別的言動」と決めつけた問責決議の可決は、憲法で保障された表現の自由の侵害と名誉毀損に当たるとして、加藤圭一市議が、議会設置者の市川市と3市議(決議案提出者と賛成署名者)に、1千万円の損害賠償を求めて千葉地裁に提訴した。加藤氏側は、市民の不安を知りながら、討論もなく問責決議に賛成し、可決させた各市議の問題も指摘した。

 ■公園の集団礼拝

 訴状は、市立南沖公園(行徳駅前3)では、「イスラム教徒は、地域の子供たちが遊ぶために設置されているジャングルジムや鉄棒が使えないような態様で礼拝」し、行徳モスクの増設・拡大への反対署名活動が行われ、市議会に陳情書が提出されている状況を説明。

 保守系会派の自由民主の会に所属する加藤氏の「イスラム教徒が公園で礼拝する街は、断じてごめんだ。それを多様性として受容を強制されるなら、日本は滅ぶ」などとする言動について、「市議会議員である以上、有権者の不安に寄り添いながら発言することは当然のこと」とした。

 問責決議は今年1月の2件のSNS投稿と、2024年12月定例議会での発言(直後に議事録から削除)を取り上げたが、加藤氏側は訴状で、「『公園』で礼拝することの『受容を強制されること』に疑義を唱えているにすぎず、イスラム教徒が自身の所有や管理にかかる土地や建物において礼拝することまで否定するものではない」などと主張。

 「むしろ、国や地方公共団体が所有、管理している『公園』においてイスラム教徒の礼拝を認めることは、政教分離原則に抵触する可能性すらある」「イスラム教徒の公園での礼拝の是非は有権者の関心事である」とも指摘した。

 ■言論の府を否定

 加藤氏は、代理人の岩本拓也弁護士とともに4月21日、市内で記者会見を開いた。

 加藤氏側は、市(市議会)を対象に含めたことについて、今回の問責決議が、半数近くの議員が決議提出自体に反発して退席する異例の事態の中、「討論もなされず、越川雅史市議(無会派)の反対意見が述べられたのみで」、提案理由説明後、「わずかに8分程度で可決に至っている」(いずれも訴状)ことを問題視している。

 訴状では、「市議会が、陳情書によってイスラム教徒の増加に対する有権者の不安を知りながら、これに関する原告の発言を封じたということである。市議会は、有権者の不安を聞く耳は持たないと宣言したに等しく、議会の在り方として極めて不誠実」と、議会の姿勢に言及。

 「言論の府でありながら、多様な言論を認めず、『多文化共生』イデオロギーという一方的な主観によって(略)原告を断罪している」などと批判した。

 岩本弁護士は会見で、「議事運営についてではなく、政治的意見の中身、主張そのものに対する問責決議はめずらしい」とした。

 そのうえで、「市議3人の責任は(問責決議を)出したこと、市議会は可決したことにある」とし、「賛成者一人ひとりを訴えるわけにはいかないが、多数派で可決した市議会の責任を問うところまで含んでいる」との見解を示した。

 岩本弁護士は「民主主義は自由な政治的言論を戦わせるのが基本。多数派の意見で少数派の意見を圧殺することを平気でやっているのが市川市議会」と指摘。

 外国人問題は、加藤氏独自の見解ではないとし、「日本国中で国民の関心事になっている政治的意見の表明を議会の多数派で封殺する行為は民主主義の自殺と考え、提訴に至った」と説明した。

 2月定例市議会での問責決議提出に関わった3市議と、決議の概要は以下のとおり。

 【提出、賛成者】

 問責決議提出に関わった市議3人は、市議会会派の日本共産党を離脱(離党)し、れいわ・共生・無所属の会(当時)に所属していた問責決議提出者の徳武純平氏と、同決議に賛成者として名を連ねた地域政党チームいちかわ代表の丸金由紀子氏、同会派の野口淳氏。

 市に対しては、国家賠償法1条(公権力の行使に基づく賠償責任)1項、市議3人は、民法709条(不法行為による損害賠償)に基づき、提訴した。

 仮に敗訴した場合、分担割合は、市と市議3人で決めることになる。

 市の負担分は税金による支出になるため、行政機関と個人に賠償が生じる同様の事例からは、事後に、市が市議側に請求することも可能という。

 【決議の概要】

 問題の決議「加藤議員による度重なる排外的・差別的言動に対し、猛省を促すとともに、(略)差別的な言動を行わないよう求める決議」は2月26日、新年度予算審議が優先されるはずの2月定例議会の代表質問最終日に提出された。

 42議席のうち、自民党系の2会派▼立憲・連合系会派▼日本共産党▼日本維新の会所属議員―の計18議員が退席する異例の状況で採決が行われ、最大会派の公明党などの賛成多数で可決した。

 2議員が、退席せずに反対した。

 今回提訴にあたり、損害賠償の対象には含まれていないが、加藤氏側は、採決で賛成した議員の問題も指摘している。

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