意外?! 市川市の森林率わずか2%
森を守る活動 ゆうゆう里山四季の会
キャンプ場周辺路には不法投棄も

メンバーと一緒に、ナラ枯れの状態を調べる樹木医の金子さん(中央)

いち森の自然観察会

活動前には記念撮影も
メンバーと一緒に、ナラ枯れの状態を調べる樹木医の金子さん(中央)
いち森の自然観察会
活動前には記念撮影も
市川市を舞台に多くの作品を執筆した作家、井上ひさしさんの代表作の一つ「ドン松五郎の生活」では、江戸川を木箱で流れてきた犬のドン松五郎が、「緑ずくめ」の市川に惹かれ、重心を市川側に傾ける…。が、それは、対岸の江戸川区に比べた見た目の話で、作品の単行本化も1975年のこと。今では、市川市の森林率はわずか2%しかないという。新緑の5月、柏井地区で市川の森林保全に取り組む、「ゆうゆう里山四季の会」の活動を訪ねた。
■整備とイベント
ゆうゆう里山四季の会は、いちかわ市民キャンプ場(柏井町2)のある「2丁目緑地」と、2丁目緑地を囲むように広がる市有や民有の樹林帯で活動している。
2009年に設立、21年には、ゆうゆう里山会と市川四季の会が合併し、森林インストラクターの植村敦子さんが現在の代表を務める。
植村さんによれば、活動エリアは2万平方㍍を超え、33人のメンバーで、森林整備と研修、生き物の調査を続け、森とふれ合う親子の自然観察会などを開いている。
雨が降ると現れるビオトープの保全も、夢のある活動だ。
ちなみに、市川市内には、市川の森を守ろうと活動する同会のような団体が8つあり、「いちかわ森の交流会」を立ち上げ、市の担当者も入って情報交換している。
■深刻なナラ枯れ
県木育コーディネーターの有村由佳さんに誘われて9日、集合場所である市民キャンプ場の管理棟前に向かった。
かつて、我が家の野球少年と通った懐かしい柏井少年広場を抜けると、さわやかな森の風が吹き抜け、初夏の暑さも感じさせない。
市民キャンプ場周辺の樹林帯は、市川市動植物などがある大町公園と並ぶ、市内の貴重な森林資源だ。
ただ、近年は、病害虫の発生によるナラ枯れや、不法投棄などの被害もある。数日前には、都内の善福寺公園で、高さ30㍍ある同じブナ科コナラ属のクヌギの木が倒れたばかり。
この日は、市内の樹木医の金子真吾さんも参加した保全活動と、親子10組が応募した自然観察会「いち森」が、開かれた。
初めは、金子さんと、里山四季の会のメンバーとともに、コナラの木を中心に状態を確認しながら、森の奥まで一緒に歩かせてもらった。
樹林帯の中に入っていくと、空気も、風の流れも明らかに変化する。大学時代の一時期、山に登っていた筆者だが、市街地から少し入った場所で、これほどきれいな空気を体に取り込むことができるのは驚きだ。
各地で、害虫のカシノナガキクイムシが媒介するナラ菌によって、ナラやクヌギなどのナラ枯れによる倒木が相次いでいる。金子さんによれば、「白神山地や知床の原生林なども、例外ではない」という。
金子さんは、メンバーが案内した場所で、樹皮の剥がれや、木の根元のキノコの発生状況などを目視で確認。
さらに、周辺の木も見ながら、木槌で叩いて音の響きを確認したり、樹木点検用の鋼棒を刺したりしながら、倒木の危険や伐採の際の注意点などを伝えた。
特に、キャンプ場や市民が訪れるエリアに隣接する場所では、倒木による事故の危険があるため、森林整備の重要性が増している。
■「自然の宝物」
同時に開かれた親子イベントの「いち森」では、子供たちが夢中になって虫を捕まえたり、植物を観察したりしながら、植村代表がそばについて、解説をしていった。
歩いていると、自然の宝物にたくさんふれることができ、移動するにも「ほとんど前に進まない」と、木育コーディネーターの有村さんは笑う。
自然観察の後には、キャンプ場の炊事棟で、メンバーが持ち込んだ自家栽培の大麦をみんなで煎った麦茶を飲んだり、キヌサヤやスナップエンドウをゆでて食べたりした。
■ゴミ捨てないで
5月16日付本紙最終面「県産材で遊ぶ『木育』イベント」でも少し紹介したが、林野庁の直近の都道府県別森林率で、千葉県は30%を割り込んでおり、大阪府を下回り、全国最下位。
さらに、実際に暮らしていて緑が多く感じる市川市も、市の広さ約57平方㌔㍍に対し、緑地面積は約17平方㌔㍍、森林面積は12平方㌔㍍で、森林率はわずか2%という。
これ以上減らしてはいけない大切な森だが、植村代表は「柏井緑地でも不法投棄が目立ち、市外から来て、家電製品や家具などを捨てていくケースもある」と嘆く。
2丁目緑地を抜けるキャンプ場の周辺路には、ゴミを捨てないよう、手づくりのポスターで注意を呼びかけている。
市川市内の貴重な自然林が、当り前のように存在し続けるわけではないことを実感した。
「ゆうゆう里山四季の会」は、毎月第2土曜日と第3水曜日の午前10時から午後2時まで活動。12月から6月までの第2土曜日には、保護者と子供の自然観察会「いち森」を開催している。
問い合わせは、植村代表(メールマーク(太).aiatsuko_kakadu@yahoo.jp)。
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