思い出の樹木、国府台高に
県育英会学生寮

国府台高校に移植された思い出の樹木
 市川市国府台の市スポーツセンター敷地内に建つ、千葉県出身者のための男子学生寮「千葉県育英会館学生寮」=左写真=が、来年三月末をもって約五十年の歴史に幕を閉じる。閉寮後は建物も取り壊される予定で、同学生寮で青春時代を過ごした人たちにとっては寂しい思いが強い。こうした中、昨年十月には寮入口の前に植えられていた樹木を、県道市川松戸線を挟んでほぼ向かい側の県立国府台高校に移植。同学生寮があった証と卒寮生たちの思い出は、同じ国府台にある同校に引き継がれることになった。
 同学生寮が学生の受け入れを始めたのは昭和三十三年。以来、卒業前に退寮した人を含め延べ千人以上がこの寮で暮らし、現在も五十一人の寮生がここから県内や都内に通学している。
 寮の主な目的は学生の経済的負担の軽減だが、食堂や風呂場、トイレ、洗濯機などを共同使用しているため、コミュニケーション能力が身に付くことも大きな特徴。大学も学年も異なる学生たちが深い人間関係を築き、仲良く市川の市街地に繰り出すことも多い。彼らにとって、この寮は青春時代の四年間を過ごした思い出の場所。卒業から数十年が経っても、時折訪れる人がいるという。
 しかし、長い時間の経過とともに建物の老朽化問題が浮上。そして、建築から五十年目を迎えた平成十九年五月、多額の費用がかかる建て替えは困難であるとして、すでに入寮していた一年生が卒業する同二十三年三月末をもってその役割を終えることが決まった。
 寮の閉鎖後、同地は更地にして保有者である市川市に返還する予定。だが、寮長の西澤康男さんには一つ気にかかることがあった。それは、平成二年に寮生の保護者から寄贈された植栽。寮の入口で、冬の終わりから春にかけてはウメやツツジの花、初夏にはナツツバキの大きな白い花を咲かせるなど、寮生たちに季節の移り変わりを知らせてくれる植栽だった。
 「この植栽がなくなってしまうのはもったいな寮生の思い出〝永遠〟にい」。昨年夏ごろ、西澤さんが国府台高校の大島健一校長にこう相談したところ、同校の緑化率を高める方針と思惑が合致し、樹木の校内移植が決まった。昨年十月、全樹木を正門の近くに移植する作業が完了。今年三月ごろには、樹木の前に記念碑を建てる予定で準備を進めている。
 この移植により、「雑草が茂っていた場所がきれいになった」と大島校長が感謝すれば、西澤さんも「全てがなくなってしまうのではなく、学生時代の思い出とともに木が残るのはうれしい」と目を細める。もちろん、寮生にとっても朗報で、間もなく卒寮して実家のある佐原市に戻るという明治学院大四年生の小山田晃大さん(22)は「寮生活は楽しかった。卒業後も市川を訪れたいし、そのときには木を見にきたい」とその日を思い描いている。
 学生寮として残された時間はあと一年余り。建物はその時から姿を消すことになるが、寮生たちの思いを受け継いだ花は、次の年も、またそれ以降の年も、国府台の地に咲き続ける。
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