非難行動・運営を円滑に
 災害時の避難所体系を改定~市川市


 市川市は大規模災害時の避難所開設・運営マニュアルの作成に着手する。市内の避難所全体の体系も昨年11月に改定しており、同月には職員行動マニュアルを作成、同12月には避難所に初動配備する職員を選定済みで、現在、避難所となる市立小学校とその周辺住民との関係作りを進めている。過去に市は各小学校に依頼し、避難所開設・運営マニュアルを作成していたが、各校の施設や環境に即してはおらず、ばらつきもあり、実質的に活用できるものではなかった。
 
 避難所は、被災時に自宅で生活ができない場合に避難生活を送る施設。避難者の状況を見て必要な場合に開設する。避難者が自ら運営委員会を組織し運営することが大前提で、行政が設置するものではない。
 
 市川市はこれまで、市災害対策本部の下に地区拠点を9つ設けて避難所109か所を並列で組織していたが、昨年11月からは避難所の拠点を小学校39校に改定し、各避難所を統括。避難拠点を徒歩圏内の小学校に変更することで、住民への定着と安心感を深めることにつなげ、避難行動を円滑に進められるようにすることが狙い。さらに、被災・避難状況が把握しやすくなり、市災害対策本部との連絡、避難所の運営も円滑になる。
 
 改定に基づき、地区拠点への初動配備職員も174人から725人に大幅増。すでに職員研修を行っている。
 
 非常時の連絡確保に向けては現在、防災無線システムのデジタル化も進めている。中高層建築が増えているため、従来のアナログ方式では十分な通信が行えない懸念があった。
 
 避難所開設・運営マニュアル作りに向けては、拠点となる小学校・地域との交渉を昨年末から進めており、地域住民が中心を担う避難拠点運営委員会の発足を目指している。来月初旬までには同マニュアルのたたき台を作成する予定。同市危機管理担当は「災害時、自分たちの街の状況をしっかりと把握し、共有できる仕組みづくりを進めている。(公助=行政による災害支援=が各地に届くまでの)被災直後の数日間は住民のみなさんが助け合うことが欠かせない。日ごろからの皆さんの協力が必要」という。  

開設に必要な鍵
 市側も所有へ

 被災時に学校施設を避難所として利用するには、施設を開錠する鍵が必要。しかし、その鍵は学校側が所有しており、実際に避難所開設に携わる市側は所有していなかった。
 
 避難所開設・運営プロジェクトを進める中で市危機管理担当が学校側と交渉を行い、拠点39校の鍵の所有を進めており、ほぼ終了。鍵は、初動配備職員のリーダーあるいはサブリーダーが保管する。

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