20日に現地見学会
北下遺跡祭祀の道具 続々と出土
外環道路建設予定地内にある市川市国分の北下遺跡から、平安時代に下総国府域で行われていた祭祀(さいし)で使われたとみられる土器や木製品が続々と出土している。同地では昨年三月までに、同じく祭祀に使われたとみられる墨書土器(墨で字が書かれた土器)が大量に見つかっており、今回の出土品は同地で行われていた祭祀の内容をさらに詳しく知るための貴重な史料になるとみられる。発掘調査を行っている千葉県教育振興財団は二十日午前十一時から午後二時まで、木製品などが出土した現在の調査地区で遺跡見学会を開催。木製品の展示は劣化防止のため困難だが、大量の瓦が破棄されたままになっている当時の国分川の流路跡や、墨書土器の実物などを間近で見ることができる。
現在発掘調査が行われている場所は、市立国分小の南西側の通称・バス通りと国分川に挟まれた約一三〇〇平方㍍の低地。現在の国分川は人工的にほぼ直線状に流れているが、同地やその南側では幅七㍍ほどの古代(奈良・平安時代)の流路跡が確認されている。
現調査地点の南側では、昨年三月までに約四百点に及ぶ墨書土器が出土。これらの土器は「身替」の文字や人面の絵が書かれていることや、出土場所が下総国府域の東南端であることなどから、国府域の境界で行っていた祭祀で使われたとみられていた。その後の調査でも馬の頭の骨や木製の弓の一部などが見つかり、その弓には「神門朝○(「法」または「弦」に見える)奉」と読める文字が書かれていたことがこのほど分かった。
現在の調査地区では、人や仏の顔の描かれた墨書土器数点を含む大量の土器のほか、地面に刺ししてお祓(はら)いの際の境界を作る斎串(いぐし)、川に流す人形(ひとがた)、漆器、曲げ物(薄い板を曲げて作る容器)などの木製品も大量に出土。また、同地からバス通りを挟んだ向かい側の斜面には下総国分寺の瓦を焼いていた窯(かま)があった関係で、当時の国分川に捨てられたとみられる焼き損じの瓦が大量に見つかっている。
二十日の説明会では午前十一時、同十一時四十五分、午後零時十五分、同一時、同一時四十五分の五回、係員が順路に沿って見学者を案内。当時の流路や、その流路の底に大量の瓦が堆積している様子を間近で観察できる。各自で自由に見学することも可能。また休憩所では、出土品の実物やパネルを展示するほか、墨書土器に関するDVDを上映する予定。
小雨決行。大雨中止。問い合わせは同財団市川作業所(☎374・7630番)。見学会では当時の川底に沈む大量の瓦を間近で見ることができる
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